それに対して、私は空を見ていた視線を窓ガラスに移す。

 椅子に座って空を眺める私は、ダサい中間服がよく似合う地味な女の子だった。

 ちゃんと校則通りに肩より長い髪は三つ編み、大きな眼鏡に、ワンポイント禁止の白靴下。

 ダサいと嫌がる中間服にぴったりの、ダサい姿の女の子がガラスに映っている。
 私が中間服は嫌だと言っても、笑われてしまうに違いなかった。


『メガネザル』
 どうしても思い出してしまう言葉が耳の中にこだました。

 ふっと心をからにする。気持ちに嘘を吐く。
見えない聞えない、私はここにいない。
 今は制服の話だ。制服のことを考えているんだ。


 高校は、もう少し校則が緩い学校がイイな。
 そんなちいさな願いしか口に出せないような、情けない姿に私は再び空を見る。