「昨日お別れ会したのに、あいつら空気読んでほしいよな」
「嘘。自分で引っ越す時間言ってたくせに」
「だって、蕾ともっとイチャイチャしたいじゃん?」
 唇を尖らせたので、私はトラックに隠れて眼鏡を外した。
すると真っ赤になった優大くんは、抱きしめてくれた。
お日様の匂いのする温かい腕の中、鼻がぶつからないように唇に触れる。


こうして優大くんのいない、受験戦争の夏がはじまってしまった。