優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


――

とは言っても、私に何かしてあげることはないしできることはない。
せめて、絵を。絵を早く彼に渡しておかないといけない。

彼のために絵は描いておきたい。

今日は、誰にも声をかけられないように、放課後は一目散に美術室へ。
織田先生に見つからないようにカーテンは閉めたまま、パソコンを起動した。

一番乗りの私に、百合ちゃんと先生は驚いていたのはちょっと恥ずかしかった。



「そうそう。期末テストの最終日、ひまわり展を見に行こうと思っているんだけど」


先生がペンタブのセットアップを手伝ってくれながら、壁にも貼ってあるポスターを見る。

「隣の市だから親御さんの許可もいるので、もし津田さんも来てくれるなら」
「い、行きたいですっ」

あ、でも、最終日って陣之内くんのお別れパーティの日だ。

「あのう、何時ごろでしょうか」
「そうね。美術展は19時までだけど、電車で一時間はかかるでしょ。お昼ご飯を食べて13時ぐらいから。私服の方がいいかしらね」