優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。




「期末テストの範囲を黒板に書いておくから」
「期末テストにここは出ます」

「期末の範囲は、一学期にならった全範囲です」


 一時間目から、テスト、テスト、テスト。
 先生たちの気持ちも夏休み前のテスト一色。
 ゆっくりできるのは、体育の水泳の時間だけだった。
 
 男児は反対側のプールサイド。
 女子と男子は離れて授業っていうのもいいかもしれない。
 男子は、織田先生。私たちは女性の山本先生だ。


「ねえ、蕾。蕾ったら」

 ゴーグルをかけて潜ってキラキラと揺れながら輝くプールの床を見ていた。
 ぷかぷか浮かんで、水と光の角度をずっと見ていたかったのに、ビート版を持った紗矢が近づいてきた。

「ねえ、もしかして優大に告白されたの?」
「ひぇっ」

「あーっ されたんだ。されたんだ。昨日よね? なんて言われたの? で、なんて断ったの?」
「なんで断ったって分かるの?」