優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


「なあ、蕾、これみてよ、感想一覧ってやつ」
「え、感想?」

携帯の画面を覗くと、『死んでも死んでも死にきれねえぜの感想一覧』っていうページを開いていた。

「昨日更新したら、感想が沢山付いてたんだけどよお」
「へえ。すごいね」
「違うの、めっちゃ叩かれてるの。ウケるから読んで」

紗矢が爆笑してるので、画面のコメントに目を移す。

『ホラー小説で恋愛書くな』

『ちょっとしたことですぐ人を殺していた殺人犯のラブストーリーなんで需要ない』
『カテゴリーエラー』
『主人公、自首エンド?』


「な? 酷くね? 俺だって人を殺したくて殺してたわけじゃねえんだよ。人を好きになると、負の感情が消えてしまっただけだし」

「恋愛で書けばいいじゃん。優大の恋愛小説とか絶対面白いよ」

「じゃあリアルタイム更新するわ。蕾が俺に振り向く120日間って感じのタイトルで」
「な、なんの話をしてるんですか!」

 二人の話がヒートアップし出したころには、私の全身は変な汗をかいていた。

 紗矢の前で、そんな話はまずしないでほしい。紗矢以外の前ではもっとしないでほしいけど。

「さ、紗矢ちゃん、進路の紙、出した!?」