部屋に戻って、朝ごはんを食べて、
着替えて、それから学校へ向かった。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
通学路は、切ない秋の兆しがみられた。
キンモクセイの花びらが、もう開花していて、
優しい、甘い匂いを感じる。
東京の、住宅街。
わたしの学校は、家から歩いて、
だいたい15分くらいである。
その間、細々とした道を通る。
落書きだらけの選挙ポスターとか
街路樹の道とか、
込み合った電線には、
カラスやスズメがとまっている。
さびれた街灯には、カラス避けのトゲトゲが生えている。
砂利だらけの駐車場には、
もう何ヵ月も使われていないと思われるバイクが横たわっている。
昭和っぽさが残る道。
木造の家や、駄菓子屋。
住宅を囲むコンクリート壁には、
「◯◯住民断固反対!!」
の垂れ幕が、ざつに掲げられている。
高層ビルと都営住宅と、
民間が隣接している。
酒店の近くは、通学路であるが、タバコ臭い。
昔ながらのタバコ屋道までくると、
学校は目の前にある。
わたしの知り合いも、ちらほら見えてくる。


