独り言が、
彼の孤独な部屋にぽつりと響いた。


豆電球のオレンジ色は

部屋の置時計や、
ペン立てや、トランプや、本棚に淡く、降り注いでいる。


倫太郎は立ち上がった。
時計の針が午前五時ちょうどを指し示している。

窓の外は微かに明るい。
それからもう一度、あの少女の事を考えてみる。

あどけない少女。純粋な少女。

もしも仲良し学級にいたら、何て声を掛けようか。

不登校でもないし、発達障害があるわけでもない倫太郎との接点を、いかに見つけて話し合おうか。それが問題だった。    

今朝の出来事をありのままに話してみようか。


でも、それだと頭がおかしい人だと思われるかもしれない。取り留めのない考えが浮かぶ。


彼は机の前に座って電気をつけた。


山積みになった哲学の本たちがそこにある。


そのうちの一冊を手にとってパラパラとページをめくった。