「光希先輩!」
私は光希先輩に駆け寄った。
「人がいっぱいいますね!」
「そうでしょ。」

光希先輩が微笑む。
「演劇部は先生からはあまり期待されてないけど、生徒からの人望は熱いからね。」

さすが…。私が感心していると光希先輩の顔が少し意地悪になった。

「ひまりちゃん。じゃあ行こうか。」
「えっ、どこにですか?」

「美千留ちゃんから聞いたでしょ。外部練習だよ!外部練習!」
…ホントだったのか…

私はそのまま引きずられるようにして、光希先輩と部室をあとにした。



…もしあのとき、私がもう10秒部室を出るのが遅かったら…

この人に会うことができたのに…