「聞いてた?秋原に左利きコーチをしてもらいたいからメールしといて欲しいって。」
「あっ、今やってくるね。」
私はそう言って、直樹から離れていった。

…………
その頃、直樹に一人のお医者さんが話しかけた。

「もしかして、辻井さんのお知り合いですか?」

「はい…そうですけど。何でさくらのことを?」
お医者さんは不思議そうな顔をして言った。

「知らないんですか?辻井さんはー」

「えっ。…嘘だろ。」

私はその時、直樹と私の主治医のお医者さんが会話してるなんて思ってもいなかったんだ。