屋上のドアを開けると、視界いっぱいに幾千もの星が広がった。



「…綺麗」


屋上だから、街灯に邪魔されることもない。星の光だけが、あたしたちを温かく照らしてくれた。



ベンチに腰掛け、2人で空を見上げる。



「星ってさ、不思議だよね…」



今見ている星は、何年も何百年も、あるいはもっと前のもの。一番輝いているあの星だって、今は死んでなくなったかもしれない。だけど、一生懸命輝いて、何年もかけて、遠く離れたこの場所まで光を届けているんだよ。



「人ってさ、死んだら星になるってよく言うでしょ?でも、あんなの迷信じゃん。人なんて、死んだら何も残らないのにね…。永遠に輝ける星がうらやましい…」



「そんなことねぇよ。誰かが覚えていればいいだけの話だろ。その人が忘れない限り、永遠に輝くことができる。その人の心の中で輝く星になれる」




そんなこと、今まで考えたことなかった。

人は死んだら終わり。

何も残らず消えていくと、今まで思ってきたけれど、颯斗はそんな風に思わないんだ。