「だったら…俺が傍にいる。
俺が希愛の傍にいる！
希愛を1人にさせねぇ…」
ぎゅっと抱きしめる力が強くなった。
まるで、“ここにいろ”と言っているみたいに。
もう無理だよ…。
糸がプツリと切れたかのように溢れ出す涙。
歯止めなんてきかない。
ただ、感情が溢れるように涙が溢れた。
「俺…」
再び始まる沈黙。
だけど、さっきとは違う。いろんな感情があたしの中で混ざっているせいか、全く気にならないの。
「…俺、希愛のことが好きだ」
思わず顔を上げると、頬を赤く染めた颯斗と目が合った。
曇りのない澄んだ瞳はどこまでもまっすぐで。
このまま時間が止まっちゃうかと思った。
