「……しばらく、1人にして」


その日は、お父さんもお兄ちゃんも颯斗も来なかった。

多分、先生から話がいって、気を使っているんだと思った。


誰とも話す気になれないあたしにとってはちょうどよかったのかもしれない。

来てもうまく笑える自信ない。それどころか、絶対に泣いちゃう。みんなは優しいから、どれだけ泣きたくなっても涙は見せず、あたしを慰めようとする。

だから、今日だけはお互い顔を見ない方がいいと思った。





体調は良くなったけれど、気持ちの整理はつかないまま数日が経った。


ーコンコン


小さくノックした後、静かに開くドア。

思わずドアの方に視線をやると、そこには気まずそうに佇む颯斗の姿。