「どれだけ考えても答えが出なかったらさ、考えるのやめね?それって、時間の無駄だろ」


大きな優しい手が、ポンっとあたしの頭に置かれた。


「そんなこと考えるより、希愛が楽しいって思えること考えようぜ。なんていうかさ、とりあえず笑っとけばなんとでもなるから」


いじわる笑顔をしたと思ったら、実は優しくて。

颯斗のことがよくわからない。

だけど、1つだけ分かったことがある。

それは、颯斗は今まで自由に生きてきたってこと。

高校生なのに金髪で。

たくさんのアクセサリーをつけて。

校則なんて無視しちゃうような人。


それはまるで、大きな空の下を迷うことなく飛ぶ、一羽の鳥だ。