「颯斗」 彼の名前を呼ぶと、「なんだよ」ってそっけない返事が返ってきた。 「こっち向いて」 真っ赤なほっぺたをつまむと、やっと向いてくれた。 普段は履くことのないパンプス。 少しヒールになっているおかげで、背伸びをすれば簡単に届いた。 ──ちゅっ 甘いリップ音を漏らし、2人の唇が軽く触れた。 そういえば、あたしからキスしたの初めてかも。 ゆでだこみたいに真っ赤になった颯斗の顔。 その直後「お前は悪魔か」って言われた。