ぎゅーっと、力いっぱい抱きしめる。 ごつごつした固い体。 何度も鼻をくすぐった柑橘系の甘い香り。 全部、好きだなぁ。 「颯斗…」 「ん?」 そっけないような優しいようなよく分からない返事。 「…好き」 抱き着いたまま、ぼそっとつぶやいた。 特別な意味なんてない。 ただ、言いたくなっただけ。 「俺も、好き…」 顔をあげると、真っ赤な顔をした颯斗と目が合った。 見つめ合うこと数秒。 その沈黙後、2人の唇がゆっくりと重なった。