「嘘だよ……ね?颯斗はそんなこと言わない…っ。あたし、知ってるよ…?颯斗はいつもあたしの傍にいてくれて、温かい言葉をくれる。あれが嘘だなんて思えない…」
颯斗がくれる言葉はいつもあたしの中に残った。
あたしを強くして、前に進ませてくれる。
その言葉で何度も救われた。
『だったら…俺が傍にいる。
俺が希愛の傍にいる!
希愛を1人にさせねぇ…』
あの言葉も。
『希愛は俺の中で一番だから』
この言葉も。
『俺は、希愛に出逢えてよかったって心から思ってる。付き合わない方がよかったなんて一度も思ったことない』
全部。
『俺は、希愛が傍にいてくれるだけで幸せだ。希愛と過ごす時間が、俺にとって一番の時間だ。俺の幸せ願ってんなら、離れていこうとするな!』
───嘘だったんなんて…。
思えるはずないんだ。
「嘘だよ、全部。お前みたいな女、本気で好きになるわけねぇじゃん」
颯斗はいつもあたしのことを“希愛”って名前で呼んでくれていた。
思えば、“お前”と呼ばれたのは一度だけ。
だけど、あの時と今とでは状況が、言い方が、全然違う。

