「こんなに元気なのに、好きなことさえまともにできない。退屈な毎日を送っているあたしの、話相手になってよ」 あたしが死ぬまでの思い出づくり。 人生の思い出が何もないなんて悲しいでしょ? 難しいことは言わない。 ユウくんのお見舞いに来た日でいい。 ほんの数分だけ。 「…いいよ」 静かな病室に颯斗の低い声が響いた。 「やったぁ」 あたしが嬉しそうに笑うと、曇っていた颯斗の表情にも、ほんの少しの笑みが浮かんだ。