突然呼ばれ、反射的に声のした方へふり向くと、そこにはお父さんの姿。


「なんで…お父さんが…」


いつもはもっと遅いのに。

こんなに早く帰ってくること、めったにないのに…。


「何やってんだ」


低く冷たい声に加え、光のない目であたしを睨む。

その瞬間、頭の中が真っ白になって、全身が凍り付くような感覚に襲われた。

同時に、あたしの中で何かが壊れる音がした。


「さっき帰ってきて、もう家に入るところだよ…」


動揺しているせいか、語尾がだんだん小さくなった。

おまけに自分でも声が震えているのが分かる。

いつか、きちんと颯斗のことは話さないといけない。

紹介して、付き合うことを許して欲しかった。

こんな形で知られたくなかった。