「それから、話さなくなったの…」


病院に来ることはないから、入院中は話すどころか顔を合わせることすらない。

家に帰っても気まずいだけだから、治療を拒んでわざと体調を悪くして、退院しなくてもいいようにしている。

ただ、先生は理解してくれない。あたしのわがままだからか、元気にさせて退院させようとするの。


ほんと、いじわるだよね…。




「んだよそれ…。希愛は悪くねぇだろ!?そんなの、希愛が殺めたことにならない!」


「違うよ…。全部あたしが悪いの。お母さんが死ぬよりもあたしが死んだ方がよかった。その方が、お父さんもお兄ちゃんも幸せだった…」


あたしの命は初めから存在しなかった。

そういうことにしておけば、誰も苦しまずにすんだ。

あたしが生まれたせいで、お母さんが亡くなって、家族が壊れた。

あたしがいたせいで誰も幸せになれなかった。