「生まれつきなの。初めての手術は生まれてすぐ。あたしが、弟くんくらいの頃には慣れた」


昔は怖かった点滴も、今じゃお手の物。

慣れって怖いよね。


「それ、治るのか?」


空に移した目線を彼に戻し、にっこり微笑んだ。


「治らないよ。

あたしね、死ぬの……───」


サーっと風が吹き、中庭の木々を揺らした。

聞こえてくるのは葉がこすれる音とセミの声。

真夏の日差しがジリジリとあたしたちを静かに照らした。