先生。



玲太の低い声が、ここに響いた。



その言葉で、一気に青ざめる。


…血の気が引いた。





「ご、ごめん…ただ力になりたいって思っただけなの…なのに、ごめん…」


「聞いてくれんだろ。俺の話」


「…うん。聞く」





私がそういうと、玲太はぽつりぽつりと話し始めた。





「俺の親父は警察官で、家に帰ってこないことなんてしょっちゅうだった」


「…うん」


「お袋が死んだ日も、葬式の日も、あいつは来なかったよ」





玲太の目は、遠くを見てる。


まるで、見失った過去を話すように。





「お袋は死ぬ間際もあいつの名前を何度も呼んでたのに…最近は家に入り浸って俺の顔を見る度、警察官になれなんてぬかしやがんだよ」





そう言って掠れた声で笑った。