ぶっきらぼうに耳に響いた司の声は、私を暗闇から救い出してくれる気がした。
「…うん。すぐ行くね」
それだけ言って電話を切ったあと、またイライラした声で話しかけてくる先生。
「立花と住んでんの?」
私はそれを無視して、クローゼットから取り出した服と制服をカバンに詰めた。
このタバコの匂いが充満する部屋から、一刻も早く出たい。
甘い声が聞こえる空間から、いなくなりたい。
…また先生に、溺れてしまう前に。
置いてあった携帯をポケットに突っ込んで、カバン手に立ち上がる。
先生はさっきの場所から動かない。
「…たくさんありがとう」
たくさん迷惑かけてごめんね。
たくさん心配かけてごめんね。
心の中でそう言って、靴を履いた。
ドアノブに手をかけて、一刻も早くこの部屋から出ないといけない。

