桃李がこういうのに疎いのをいいことに、適当なことを言ってしまった…。
しかし。初めて…いい響きだな。
そう思ってしまうと、ヤバい。
顔の緩みが止まらない。
桃李に見られたくない表情のひとつだったんだけど、もう構ってる余裕がない。
と、いうか。もういいや。
その緩んだ顔のまま、桃李の頭をポンポンと撫でまくる。
頭小さくてかわいいわー。
とうとう…俺のモノになった。
俺が初めての彼氏。
俺が初めてのキスの相手。
あー。いい響き。
独占欲丸出しの優越感で、気分が良い。
(…あっ)
…優越感に浸っていたのに。
良い気分だったのに。
そんな中で、とある重大事項を思い出してしまった。
思い出した途端、顔の緩みは一気に消え失せ。
イラッとした気分に襲われる。
そうだ。
そういえば…!
「…桃李、ちょっと来い」
「え?…わっ!わわわわ!」
体を一気に抱き上げ、立ち上がる。
桃李の切ない悲鳴が聞こえた。
「な、な、何っ?…ひ、ひぃぃっ!」
汚い悲鳴をあげて挙動不審になっている桃李を担いだまま、移動して厨房を出る。
辺りを見回してから、事務用の椅子の上に乗せてあった自分のカバンをよけて下に降ろす。
桃李を担いだまま、その椅子に座り込んだ。
「ひっ!」
座ったからといって、降ろしてはやらず。
お姫様抱っこをしたまま、そのまま膝の上に乗せたカタチとなった。
「な、何ですか…?」
俺の膝の上にちょこんと座っている桃李は、挙動不審にキョロキョロしている。
急な展開に着いていけてないのか、ぶるぶる震え出し、俺と目が合うとビクッとしていた。
俺は引き続き、ムッとした気分。
「…おまえさぁー…」
「は、はい…」
「…蜂谷さんに舐められたとこ、どこ?」
「え、えぇぇっ!」
…何を今さら。って、思うだろ?
だけど、俺はとことん根に持つ性格でよ?
絶対に許さん。
蜂谷さんが、桃李の生クリームついた頬っぺたを舐めた事件。
俺の桃李に、俺の大事な頬っぺたに何をしてくれてんだ…!
許されないわ!…殺す!
「なっ!…な、な、何で?」
「いいから。どこ?頬ったな。右?左?どっちだ?」
「み、右だけど…な、何で?何で?」
「…わかった」



