…結局、私になんて『力』はなかったことを思い知らされた。
無血で解決なんて、無理なのは重々承知だったけれど。
でも、夏輝にこんな思いをさせたくなかった。
私…調子に乗ってたなぁ。
強くなったと勘違いしていた。
結局は、狭山さんと夏輝の力がないと、問題解決出来なかったし。
まだまだだった。
さっきの夏輝の引きこもりの件も、自分が何とかしたかった。
でも、結局、私…いったい何がしたかったんだろう。
ワケの分からないことを言って、泣いて。
仕舞いには…大好きです、とか言ってしまった。
(………)
あそこで言うタイミングじゃなかった。
自分的には。
もっともっと、ちゃんとして、強くなって…いい女に、お姫様になってから言いたかった。
私が『大好きです』言った時の夏輝の顔を思い出す。
口ポカーンで、笑っちゃう。
可愛いかったけどね。
…でも、あの反応からして、言うにはまだ早いタイミングだったかもしれない。
あの表情が何よりの証拠だ。
(あーあ…)
さっきの告白。無しに出来ないだろうか。
はい、ノーカウントです!なんて。
聞き流してくれて、何も言ってこないといいな。
それを祈るしかない。
結果。
私がお姫様になるには、まだまだでした。
(………)
パチッと目が覚める。
視界には、白いボードの天井と、窓の向こうの薄暗くなった外の風景だった。
…あ、そうだ。
私、用務員さんに勧められて、保健室で休ませてもらったんだっけ。
外が薄暗くなっている。
今、何時だろ。
相当寝てしまったことには違いない。
用務員さん、起こしに来てくれてないのかな…。
それとも、私が起きなかったのかな。
布団の中に入ったまま、はぁ…と、ため息をつく。
とりあえず、これからどうしよう。
しばらく考える。
とりあえず…さっきの告白は無しにしよう。
何もなかったかのように、振る舞っておけば、夏輝も夢だったと思うに違いない。
『え?そんなの知らないよ?』なんて。
夏輝だって、急にあんなこと言われたら迷惑だと思う。
それに…前みたいな関係に戻れなかったら、困る。
私の焼いたパン、食べてくれなくなったら困る。
変に意識しちゃって、幼なじみの関係が無くなるのが恐い。
それが一番の理由だった。
あの告白は、無し。
よし。そうしよう。



