『…それに、相手の思いを一切考えず、常に自分の欲求を優先するところ…大嫌いです、昔から』
そう言って、里桜ちゃんに一歩詰め寄る。
『…あなたと夏輝くんのゲスな交尾の話を聞かされて、桃李がどれだけ不快な思いをしているか、考えましたか?』
『そ、それは!桃李ちゃんもエロトーク、楽しかったよね?ね?』
『………』
唖然だ。
この卑猥な気持ち悪い話を面白いだなんて。
私は、まだ大人じゃない。子供だ。
しかも、目の前にいる人と知ってる人との話で複雑にさせられて。
私は…。
(聞きたくなかった…)
『…楽しいワケないじゃないですか!この桃李の苦しそうな様子、わかりませんか?明らかに《不快》以外何物でもないでしょう!…いい。もう、いいです。里桜、今すぐ消えて下さい』
そして、もう一歩詰め寄る。
その度に里桜ちゃんの表情は泣きそうに歪む。
『あ、秋緒ちゃん…』
『…私の大切な親友にこんな不快な思いをさせて、許されませんよ!腹立たしい!』
寸前まで近寄られて、里桜ちゃんは席を立つしかない。
『…今すぐここを出ていきなさい!そして、もう二度と桃李に近付かないで下さい!…二度と来るな!パンダフルにも!』
『…ひっ!』
秋緒が怒鳴り散らすと共に、悲鳴をあげて一目散にその場から逃げ出す。
あっという間にお店を出ていってしまった。
里桜ちゃんがお店を出ていき、店内はとても静かになった。
(よかった…)
安堵の息をつく。
しかし、同時に理由のわからない罪悪感にも襲われた。
『桃李、大丈夫ですか』
『あ、うん…』
目の前に秋緒がいる。
そう思うと、ホッとして涙がポロッと出てしまった。
すると、駆け寄ってきて、手を取って握ってくれる。
『桃李!』
『ごめん。ごめんね…私が嫌だってちゃんと言えなかったから…』
『何を言ってるんですか。桃李なら何言っても許してくれると思って、里桜は調子に乗ってるんですよ。ついでに夏輝くんも。だから夏輝くんは桃李に小言ばかり言うんです。許されません』
『ご、ごめん。ごめんね。本当にごめん…』
『私の方こそすぐに気付かなくてすみませんでした、桃李。里桜がここに出入りしている話は聞いてました。ひょっとしたら桃李の体調不良の原因はそれかと思いまして』
『迷惑かけて、ごめん…』
安心してしまって、どんどん涙が出てくる。



