王子様とブーランジェール





布団の中でも、全身ブルブルしている。




どうしよう。

どうしよう。

私のせいで、あんなことに。

私のせいで、夏輝が先生に…!



夏輝は、私のせいで、先生にボコボコに暴力を奮われた。

あれはもう、リンチだ。

だから夏輝は学校に来ないんだ。

暴力を奮われて、傷付いて、悲しんで。

きっと、愛里ちゃんのように、学校に行けないんだ。



どうしよう。

どうしたらいいの?



考えても、考えても。

何も出来ない…!




不安、罪悪感に襲われる。

でも、誰にも何も言えない。

どうしよう。



そうして、私は数日の間、びくびくしながら生きていた。

どこにいても、どんな時でも。



しかし、数日経ったのち。

事態は動き出す。

あの夏輝のボコボコ動画を見た父兄や関係者からの学校への問い合わせが殺到し。

在校生はもちろん、卒業生の父母までもが学校に押し掛ける。

『実はうちも暴力を受けた』『私、実はセクハラされてました』と、カミングアウトする人たちも現れた。

挙げ句の果てには、あまり関係のない商店街の人たちも学校に押し掛け、文句を言いたい放題。

あの愛里ちゃんは、学校にも教育委員会にも、全てを話して、遠く離れた地へ転校した。

前村先生もいつの間にか姿を見せなくなっており、いつの間にか退職していた。



私は…最後まで結局何も言えず。

学校での簡単なアンケートには答えたけど、実際自分がされたことは書けず。

教育委員会や学校の先生が直接うちに来て、聞き取り調査をすることはなかった。

恐らく、夏輝は私の名前を出さなかったんだと思う。

自分が傷付いているにも関わらず、私のことを庇ったんだ。



もう、どうしていいかわからなくて、恐くて。

事態が終息しかけた頃、ようやくお父さんにだけ、こっそり話すことが出来た。



私は…先生にセクハラされそうになったことより。

私を庇ったことによって、夏輝があんな目にあったのが、ショックだった。



お父さんにもそう正直に話すと『つらかったね』と、頭を撫でてもらって。

お父さんの胸の中で、わんわんと泣いた。






…結局。

あの時の私は、ただ怯えるだけで、何もしなかった。出来なかった。

ただの弱虫。ヘタレ。





━━でも、今は違う。





今までのそんな自分が嫌で。嫌で嫌で。

『変わりたい』と願って。

ここ最近の話だけど、いろいろ頑張ってみた。

努力もした。




だから、今こそ。

私が、何とかするんだ。