王子様とブーランジェール




もう、何が何だかわからない。

また、頭の中がごちゃごちゃしてきた。




俺はいったい、本当はどうしたいんだ…?






「…ほいっ!またしてもさるぼぼゲット!」

「…なんだよぉー!またかコラ!…いつになったらさるぼぼゲット出来んの俺…」

「いい加減諦めたら?八百長してやるか?」

「いーやっ!俺はまだ諦めないぞ!八百長いらん!」



先週に引き続き、カード争奪すごろくの会。

ホント、飽きねえな。こいつら。



「そういやさー。今日部活休みだよなー」

翔がそう言いながらルーレットを回す。

「…あ。そうだ。糸田さん、犬の健診あるから休みだって。サッカー部的には恒例行事らしい……って、翔、何で西郷どん避けてんの?!」

「西郷どんはおまえんだろー。咲哉」

「…で、明日は糸田先生外勤で自主練?…今週末から北海道予選始まるのにな」

「調整だろ?え?夏輝、ゴリゴリ練習したかった?」

「いや、別に。ゴリゴリはこの西郷どんだろ。ゴリゴリゴリラ面」

「…お、そうだ。横川くん、野球部も北海道予選?」

話をフラれた陣太はルーレットを回してコマを進めている。

「そうそう。俺達も今週から。…ほれ。次、原の番だぞ」

陣太にそうフラれた幸成だが、ヤツはケータイをいじりながらルーレットを回す。

「夏輝ー。大河原さんが合コン行くぞって言ってるぞー?夏輝呼べって」

「………」

しつこいな。あのイボゴリラ。

合コンなんて行かねえ…。



「…行くかな」



小部屋内がシーンとなった。



「…マジ?大河原さんの合コン、行くの?」

カードを手に持ったまま、翔が顔を覗き込んでくる。

「…あ、ああ」

「え。どうしちゃったの。あんなに嫌がってたのに」

「い、いや…たまには…」

返答に困って、しどろもどろしてしまう。




何だか、めんどくさくなってきた。

桃李のことを考えて、モヤモヤしてうじうじしている自分が。



「な、何言ってんのおまえ…」

咲哉はどの誰よりも目を丸くしている。

その視線が痛い。

「じゃあ、大河原さんにLINEしとくぞ?『夏輝OKでーす』って」

「…幸成コラ!」

「え?もう送信しちゃったけど」

咲哉から一発、幸成の額にビンタが入る。



すると、イボゴリラの反応は早い。

今度は俺のケータイのバイブが鳴った。

着信の相手はやはり、イボゴリラだ。



《部活休みだろ?早速放課後来い!》



ホント、やるとなったら早いな。