王子様とブーランジェール








「…何だこれ」



昼休み。

秘密の小部屋で、DKが5人。

…咲哉の呼び掛けで、サッカー部の翔と幸成もこの秘密の小部屋に足を踏み入れることになった。




そんな二人も加わったが。

変な微妙な空気に包まれていた。




「やー。ごめんごめん。そういや母さんがばあちゃんの終活だかで、家中断捨離しちまってさー。弟と妹のゲーム捨てちゃってて、これしか残ってなかったみたいな…」



昨日、ゲームでも持ってくると張り切っていた陣太だったが。

その持ってきたゲームってやつが、何とも微妙な空気の原因だったりする。




ローテーブルに置かれた、ハガキより少し大きめサイズの箱。

パッケージには、国民的アニメのキャラクターのイラストが。




《どら衛門 日本一周旅行ゲーム! あなたの住んでる街にどら衛門が行く!》




未来のネコ型ロボット…。

どう見ても、小学生向けのゲームだ。

パッケージを見ると、カードとルーレットの写真がある。

カードゲーム?ボードゲーム?

どっちにしろ、対象年齢が6歳以上…。




「俺達の住んでる街にどら衛門が来てもな…」




そのゲームの箱を見たまま、咲哉がボソッと呟く。



「妹のリュックに入っていて断捨離を免れたのが、これひとつだけだったんだよ。もう仕方なくね?」

「仕方ない?陣太、おまえの母さん、ウノもトランプも断捨離しちまって、で、で、何でこれを残す!」

「横川くん、終活って…ばあちゃんもう死ぬの?」

「っつーか、こんな意味わかんねえゲーム微妙だぞ」

「いやいや!やると案外楽しいらしい。俺が試合している最中、スタンドで妹が他のちびっこたちといつもこれをやっていた。ちびっこたちは盛り上がってたぞ?…ばあちゃん?まだ70なってない。ピンピンしてる」



スタンド?

陣太が本気で試合をしている最中、観戦している母親の横で、ちびっこによるこのゲーム大会が繰り広げられていたってか。

カードやコマが風で飛びそう。

それに、まだ60代なのに娘に終活されてるばあちゃんっていったい…。



陣太がその箱を開けると、中からカードが数十枚と、すごろくのボード、コマやルーレットが出てきた。



「まずね、このご当地どら衛門カードを四枚並べて、スタートからルーレットを回して、このどれかのご当地どら衛門のいるマスまで進むんだよ。辿り着いたらこのご当地どら衛門カードをゲット。で、また新しいカードを並べる。で、またマスまで進んでカードをゲット。で、カードの枚数を競う。ってゲーム」