果たしてそれは、優越感なのか、独占欲なのか。
いや、両方だな。
イケメン狩りと言われる由縁の恐ろしさ!
「…だーかーらー?」
嵐さんがまた上目遣いで見上げる。
さっきの話をしている時点で、もうキャラは崩れたぞ。
無駄な努力、やめた方がいい。
「竜堂くん、私と付き合おうかー?」
「…はぁっ?!」
「私達のこと、学校中が知ってるよ?いっそのこと…」
「…何なんですかあなた!」
思わずカッとなって言い返してしまった。
嵐さんも目を見開いて丸くしている。
この会話のやり取りでなぜそうなる?
しかも既成事実で、付き合えだ?
冗談じゃねえぞコラァ!
「………」
話の最中だが。
ふと、視線を感じた。
恐る恐る教室の中に目をやる。
視線の先がわかった。
入口から堂々と顔を出してこっちに注目している。
目が合うと、体をビクッと震わせるに加えて「しまった!」という、バツの悪い表情をしている。
「ご、ごご、ごめんなさい…」
話、聞いてたのか?
桃李…。
盗み聞きか!
コノヤロー!!
と、雷を落とそうとしたが。
「…何話聞いてんのよこの天パ眼鏡ぇっ!ダサ女はあっちへ行きなさいよ!」
嵐さんが間髪入れて、桃李に対してドスのきいた声で怒鳴る。
桃李は更にビックリしていたが、嵐さんは怒り任せにドアをバン!と閉めてしまい、姿が見えなくなってしまった。
この女…。
桃李に対して、天パ眼鏡に加えて。
ダサ女だぁ…?
しかも感情任せに怒鳴りやがって。
許されないわ!
俺の大事な桃李に、暴言吐きやがって!
桃李に怒鳴り付けていいのは、俺だけなんだよ!
自分は散々雷落として、怒鳴り散らしているくせに。
なぜか、他人がやると、腹が立つ。
俺、身勝手すぎる。
この女。
もう、ないぞ?
許されないぞ…!
「…嵐さん」
「…ん?」
キャラも総崩れだ。なのに、まだぶりっ子しようと頑張っている。
「はっきり言って、俺、あなたとは無理です」
「え?」
「酒の勢いで関係を持ったことを武勇伝として言い触らすようなデリカシーの無いあなたとは、ありません。下品にも程がありませんか」
「えっ…」
「ましてや、既成事実突きつけてくるんですか?中途半端ですけど。冗談じゃない」
嵐さんは絶句している。
俺も今の桃李への仕打ちの怒りで、スラスラと言葉が出て来てしまった。



