王子様とブーランジェール





空気を読まずに高笑いを響かせながら、氷の世界へとずかずかと足を踏み込んできた。

そのギャップにガクッとさせられる。

終いに、桃李の意味不明発言をも肯定してやってくるもんだから、ますますガクッとさせられた。

っつーか、おまえも俺を神様だと思っているのか。

アブない女がもう一人増えただけじゃねえか。



「おう、麗華。遅かったな」

机の上に足を組んで座って俺達の様子を傍観していた狭山。

B教室内に突然現れた小笠原の方へと顔を向ける。

「いえいえ、お姐様。外からずっと見てましたわよ?一緒に」

「おっ!…そうか!」

狭山は嬉しそうな声をあげる。

急に背筋を伸ばして、机から降りた。




「…さて、嵐?…年貢の納め時といこうか?」




そして、ガラッと表情が変わり、クックッ…と笑い出す。

そんな狭山の発言に、嵐さんは眉間にシワを寄せていた。



「年貢の納め時?…何よ?」



呆れたように鼻で笑い返している。

いつでも強気だな。この人。



だが、そんな強気な態度にも動じないのがこの女だ。

キングオブ悪魔。




「クックッ…嵐。私はこの時を待っていたのだ。おまえを再起不能の木っ端微塵にするチャンスをな…?」

「…はぁー?この私を?…バカじゃない?」




お互い、睨み合っている。

犬猿の仲なのか、バチバチしている。




「クックッ…昨年、律子に集団でイジメをして、先代ミスターに咎められたにも関わらず、また同じようなことをやるとはな?…まあ、私は大方またやるとは予想していたがな?あぁ?」

「あらあら?それはさぞ満足でしょうね?」

嵐さん、開き直りがまだ続いている。

開き直った女ほど、強いものはない。



しかし、狭山はそんな彼女の態度に大爆笑し始めた。



「クックッ…ぶははは!あーっはっはっは!」

「何がおかしいのよ…」

「あーっはっはっは!」

「…何がおかしいのよ!笑うな!」



開き直った態度は狭山には通用せず、返り討ちのような大爆笑に、彼女は逆にイラッとしたようだ。

「…あーっ」

十分に笑い終えた狭山は、嵐さんの前にずいっと一歩前に出る。

突然近付いてきた狭山に驚き、体をビクッと震わせていた。

「な、何よ!」

「…ホントに学習能力ねえな?…また、同じ理由で同じようなイジメに走るなんてよ?」

「…は、はぁ?!」