王子様とブーランジェール





「ぐーぞーすーはい…」



背後から、ボソッと呟く声が聞こえた。

すると、背後にいるヤツは、ひょこっと顔を出した。

嵐さんをじっと見ている。



「み、みおさん…」

「…何よ!」

名前を呼ばれ、嵐さんはイラッとした返事をする。

桃李はなぜか深呼吸していたのちに、話し出した。



しかし、とんでもない発言が飛び出るとは、この時は誰も思わず。




「み、みおさん…私はぐーぞーすーはい、してます…」

「…はぁっ?!」

イライラが更に倍増された返事だ。

けれども。




「な、夏輝は、神様です…」




(………)




ここ一番で、シーンとなった。




誰もが絶句の上に、ポカーンだ。

瞬きしてるヤツ、いる。



ん…?

…え?俺?



俺が、神様?



(………)



…ん?んん?

何で?

何の話の流れでそうなる?

偶像崇拝の話から、俺が神様?




(………)




こ、こいつ…。

急にいったい、何を…!



わからん…!



…と、ここにいる全員が思っているに違いない。



その証拠に、見ろ。

桃李の突然の意味不明発言に、反論や同調どころか、誰も口すら開かない。

わからんどころか、アブない女だと思われていること間違いなし。




…まあ、俺は付き合いが長いから、桃李が突然異国の言葉を喋り出したり、ワケのわからないことを言い出すのは、わかっちゃいるけど。

神様…?

…これは、ここ最近一番のビックリ発言だぞ?




現在は、9月末のはずなのに。

B教室内、真冬の氷の世界となった。




ここにいる全員、フリーズしたままの様子を見て、ため息が出る。




あぁ…やっちまったな、桃李。

公衆の面前で、自分自身がバカであることをバラしてしまった。

醜態を晒したぞ。

俺も、巻き込まれた感、満載なんだけど。どうしてくれる…!



あぁ…おまえ、何を言いたかったんだ。

わからない。

通訳出来ない。

偶像崇拝の意味、わかってるか?

雑炊の具、じゃねえぞ?

バカだから、わかっちゃいないんじゃねえかと思われるが。




唖然…。




しばらく、誰も言葉を発せず。

氷の世界はしばらく続いていた。

ほら…狭山も得意の『バカめ!』を出せずに固まっているあたり、相当重症だぞ。

やっちまった感満載だ。




…だが、上には上がいる。




「…オホホホ!…夏輝様は神様!…大正解ですわよぉーっ!」