王子様とブーランジェール





急に手の平返して…悪い女だな。

とうとう仲間割れへと発展していった。




「じゃあ何?!私達が勝手にやったとでも言いたいの?!」

「美央さん、それあんまりだよ!」

「…え?だってそうじゃない?」

「わざわざ嘘ついて何の意味があるの!ひどい!」



女同士の争い、修羅場と化してきた。

今度は嵐さんが非難轟々のターゲットだ。

当の本人はしれっとしている。メンタル強い。

自業自得だ。



…だが。

忘れんなよ?



取り巻き女子たち、あたかも自分たちが嵐さんに嘘つかれた被害者ヅラしてるが。

桃李に手を挙げたのは、おまえらだぞ?

桃李の大事な指を踏みつけ、暴力を奮い、肉体的にも精神的にも傷付けたのは、おまえらだ。

…俺が原因だけど。



「あぁーん!もうっ!…竜堂くん助けてぇー?みんなイジメてくるー!」



突然、嵐さんがいつもの猫なで声でこっちを見た。

じっと見られ、目で訴えている。


突然、何を振ってくるんだ。

もうそれは通用しないし、誰がおまえを庇うか。

桃李に危害を加えた一味の黒幕のくせに!



すると、嵐さんのその発言に煽られたかのように慌てて俺に弁解するのは、取り巻き女子連中だ。



「えっ!…り、竜堂くん?わ、私達、美央に言われてやったんだからね?」

「そ、そうそう。嘘だなんて知らなかったの!」

「う、嘘だって知ってたらこんなことしないよ?」

「竜堂くんが困ってるなら、私達も何とかしたいなって思って、ねー?」



…はぁ?



急激に、イライラが込み上げてきた。



嘘つかれただの、俺が困ってるだのという。

その前に。

だからと言って、イジメに走ることが問題だろが…!




「…ふざけんなおまえらあぁぁっ!!!」



込み上げたイライラは、怒鳴り声として口から飛び出る。

怒鳴り声は響き渡り、辺りはシーンとした。

みんな、そのままの形相で固まっている。




怒りで、右手がカタカタと震えている。

ガセネタに踊らされて、桃李に暴力を奮った女子たちへの怒り。

桃李を敵視し、ガセネタを吹き込んで危害を加えるよう仕向けた嵐さんへの怒り。

…その原因となってしまった、自分への怒りと。

桃李の異変に早く気付かなかった、自分に対する情けなさ。



こんなに大切に想ってるのに。

なぜ、こんなことになってしまったんだ。




『こんなカタチでも傷付けるだなんて、あんまりじゃない!』




俺が、傷付けた。