王子様とブーランジェール





そう言って、山田はなぜか嵐さんの頭を自分の大きい右手でわしづかみにする。

「や、やめてよ!頭!頭!」

「フリージアはぁー。ウソ発見器なのぉー」

ウソ発見器?



すると、山田は嵐さんの耳元でとある質問を投げ掛ける。



「美央ちゃん?美央ちゃん?あなたはぁー。夏輝様にストーカーを追い払ってって言われたのぉー?」



一瞬、間が空く。

だが、この女はツラッと答えてくれてしまった。



「…そ、そうよ?」



そう言って、俺の方をチラッと見る。

目で何かを訴えているようだ。

なぜ、俺を見る?

話の裏を合わせろ的な?

…んなことできるか!



「えぇー。夏輝様、ホントー?」



山田も俺の方を見た。

チラッとではない。ガッチリ見て、えへ?と笑いかけてくる。

キモい。キモいぞ。見た目完全女子だが。

実は男だと思うと、キモい。



静かに首を横に振らせてもらった。

その瞬間、嵐さんはギョッとした顔を見せる。



「…俺、ストーカーを追い払えと嵐さんに言った覚えは全くない。それに、俺に付きまとってるの、あなたでしょ?」



はっきり言わせてもらった。

っていうか、桃李を悪者に仕立てやがって。

許されないわ!



「はい、ウソぉー!」



急に山田が叫びだし、嵐さんの頭をわしづかみにしていたその手にグッと力を入れる。

握っている!

すると、嵐さんが悲鳴をあげた。



「…痛い痛い痛ぁーいっ!…やめてやめてやめてぇーっ!」

「ウソ発見したのでビリビリ電流ー」



山田の太い腕の中で、嵐さんは足をバタつかせるぐらい、一層もがいている…。

山田、それはウソ発見器ではない。

ただ単にウソついた人に制裁を与えているだけ…。




すると、俺の発言を耳にした取り巻き女子たちが、ざわめき始めた。




「…え?竜堂くん、違うの?」

「ど、どういうことなの?!」

「付きまとってるのは美央さんって…二人は付き合ってるんじゃないの?!」



だから。さっきからそう言ってるよ。

そう心の中で思うと、山田がまたしても嵐さんに問い掛ける。



「えー。美央ちゃん?美央ちゃん?あなたはぁー。夏輝様と付き合ってるんですかぁー?」



またしても一瞬シーンとなる。

嵐さんは、バツの悪そうな顔をして、キョロキョロと落ち着かない、軽く挙動不審になっちゃってる。

だが、またしてもこの女は言ってくれちゃう。



「…そ、そうよ?私達、付き合ってるのよ?ね、ねえ?竜堂くん?」