伝聞ってやつは、実はとても恐ろしいもので。
人から人へ伝わっていく度に、盛って盛って、最後にはいとも簡単に、真実とは180度かけ離れたものになってしまう。
あたかも、俺と嵐さんが付き合っていたのを、桃李がぶち壊した設定になっている…?
…どこをどうしたら、そんな話になる!
「ち、ちょっと待ってください!何なんですかその話!」
黙って聞いていたが、ここは口を出さずにはいられなかった。
ここ一番のガセネタだ。
菊地さんと選手交代で、今度は俺が反論させてもらう。
だが、女子たちは何の疑いもなく答える。
「え?何って、だって竜堂くん、美央と付き合ってるんでしょ?」
「なのに!…こいつが間に入ってくるって、わざとぶつかってきて邪魔してくるって、美央さん困って…」
何の疑いもなくツラッと答えてる…。
その話を信じてるその脳内を、俺的には理解し難い。
あえてため息をついて落ち着かさせてから、口を開く。
「あの…俺は嵐さんとは付き合ってませんよ?あっちがしつこく付きまとってくるだけです」
俺の返答に、シーンとなるが。
彼女たちの脳内に刷り込まれたガセネタは、そう簡単には疑いを持たれず。
「…それ、こいつに吹き込まれたガセネタ?!」
「何てことするのよこいつ!幼なじみだからって、竜堂くんにそんなこと吹き込む?!」
「美央可哀想…ストーカー扱いされて…ストーカーはおまえのくせに!」
なぜ、真実をガセネタと!
いや、わかるだろ?付き合ってないって、本人が言ってんのに、ガセネタ吹き込まれたって、どういうこと?!
洗脳されてんの?!
しかも、怒りの矛先は俺ではなく桃李っていうこの徹底ぶり。
どんな思考回路なんだ?お手上げに近い。
こいつら、イカれている。
あまりの洗脳ぶりに少し言葉に詰まると、そこを今度は俺が畳み掛けられる。
女子たちは俺の前にズラッと並んで立ちはだかった。
「竜堂くん、はっきり言って!こいつに付きまとわれて迷惑してんでしょ?!」
「ちょっと可愛いからって男を手玉に取るようなヤツの言うこと信じちゃダメだよ!」
桃李が男を手玉…お手玉も出来ねえヤツなのに。
次々と捲し立てる女子らの向こうには、桃李の姿が見える。
遠目で俺達の様子を見守っていたが、どんどんうつむいていて、俺達から顔を背けていた。



