王子様とブーランジェール





人がいたと思われるその場所には、緑ブレザーを着た不良が一人、倒れていた。

…さっきの物音って、ひょっとして、この不良をやっつけていたのか?

場外乱闘?



それに、兄ちゃん。

アホミスター…って、言ったよな?




まさか、そこにいたのは、あの…噂の。

狭山たちや二村さんが崇拝して止まない。

そして…彼らに、俺を守るようミッションを告げていった。



あの、先代ミスター…?!









《自分の後継者である、次代のミスターを守れ!》



…何でだろう。



《ミスターであることによって、その身と心を傷付けられぬよう、笑顔を失わず高校生活を送れるよう、全力でお守りしろ!てな》



なぜ、そんなに気にかけてくれるのか。




《…ここで、ミスターを守ることが出来なければ、あの人に顔向けが出来ない…》




…なぜ、ここまで彼らを動かすことが出来るのだろうか。



アホミスター…。

…もとい、先代のミスター。



どんな御方なんだろうか。



どうでも良かった話なんだけど。

ここまで来ると、興味、出てきちゃうな…。




そんなことを考えながら、みんながいると思われる正面玄関口へと足を向けていた。

すると、そこからこっちに走り寄ってくる女子が。



「おーいっ!竜堂!」



美梨也だ。

手にはまだ薙刀を持っていた。

後ろには藤ノ宮もいる。




「遅かったな。逃げられたのかと思ったわ」

「いや…あ、落ちたからそこら辺にほったらかしのままだ」

「あー。いい。それは遺体処理班が何とかするからそのままにしとき」

遺体処理班?!

メンバー、どこの誰?!

それに、マジで殺してないからな?!




「じゃあ相当手こずった?くくく…」

「まさか。哲太兄ちゃんと先代のミスターがいたから、ちょっと話してただけ」

「えっ…」



さりげなく返答したセリフだったが。

こいつらにとっては、大事件だったりする。




先に歩いていたが、二人が立ち尽くしたまま動かない。

違和感があったので、立ち止まって振り返り、声をかける。

「どうしたんだ?行かねえの?」

「ミスター…いたの?」

「え?…あ、うん」



すると、藤ノ宮がつかつかとこっちにやってくる。



「…何で引き止めておいてくれないの!」



おもいっきり睨み付けられる。

そして、西出口を出て走って行ってしまった。

ま、まさか。

追いかけに行っちゃった?!