散々喋った後にも関わらず、小笠原は引き続き高笑いをしている。
肺活量あるな…。
しかし、そんな小笠原とは裏腹に。
怒りで顔がビキビキと引きつっているのは、マシュー総長だった。
…いや、無理もない。
自分の姫が、俺達に監禁されていると思い込んで、なりふり構わず勢いでこの高校に乗り込んできたのに。
実は女子会に参加していて、セレブな気分を味わって楽しんでいた。
それに、気付いてしまった…。
何に対する怒りだろうか。
一方、小笠原は高笑いと話を止めず。
更なる追い討ちをかける。
「オホホホ!…八上さん?瞳さんからお話はたくさん伺っておりますわよ?あなたのこと?」
扇子がパタンと閉じる音がした。
「俺のこと?…何だって言うんだうるせえな!」
「八上さん、あなた…瞳さんのことを『姫』と言っておきながら、他にもたくさんの姫がいらっしゃったそうですね?」
「えっ…!」
「その方々から『本当の姫は私よ!』と、瞳さん、大層いじめられていたようですよ?あなたのことを信じていたのに、あなたからも他の姫からも傷つけられてお可哀想に…」
な、何だって。
姫の他にも…姫?
たくさんの姫?
って、他にも女がいたってこと?
これだけ姫、姫って執着してるから、てっきり硬派で一途なんだと思っていたのに!
呆れた…。
マシュー総長は、怒りの表情そのまま絶句している。
…あ、本当なのか。
「浮気されているのに、別れると言えば監禁同然で離してもらえず…あなたは一体何をしたいのですか」
「な…」
「…愚問でしょうね?プライドのためと瞳さんはおっしゃっていましたけど?まあ、私にとってはそんな支配欲のプライドはゴミのゲロのようなものですけど?」
「…ご、ゴミ?!」
「それですもの。瞳さんが夏輝様に走るのは、最良の判断だと思いますわ?」
「なっ…!」
それはいいから…。
俺も絶句しちゃう。
「…それに、あなた、瞳さんは南区にお住まいなのに、わざわざ江別の高校に通わせていたようですね?始発で出ないと学校に間に合わないって、学校通うだけでも大変な思いをしているそうじゃないですか」
「………」
「…言語道断ですわよっ!自己満足の支配欲のために、どれだけ女性に負担を強いるのですか!このゴミのゲロ!」
ああぁぁ…。
小笠原、強し。



