マシュー総長は、困惑の表情をチラチラと浮かべてはいるが。
それでもやはり、怒りが勝ってしまい全面に出てしまっている。
「瞳を拉致したのはおまえらか?…瞳は…瞳はどこだ!どこにいるんだ!」
慌てふためき始めたマシュー総長に、小笠原はまたしても「オホホホ!」と高笑いで応戦する。
あんた、よく笑うね。
「…瞳さんは、先ほどお帰りになられました。皆で御自宅までお送りしてきましたところですわ?」
周りの三人は、小笠原のセリフを肯定するようにウンウンと頷いている。
「拉致だなんてとんでもございません?…私の自宅にお招きしまして。30時間耐久女子会を開催しておりましたのよ?」
「30時間…」
「瞳さんを御自宅まで皆でお迎えに行って。我が家のシェフが作った栄養管理バッチリの美肌に特化したディナーを皆で食べて。我が家は温泉が出ますので、皆で温泉に入って。…あ、フリージアは術済みですが中途半端なので男湯ですわよ?そして、我が家のエステティシャンを呼んで、皆で体をリカバリーして。我が家のパティシエに作らせたデザートを食べながら女子トークを楽しみまして。お肌には良くありませんが、そこは目をつぶって。でも、夜更かしはお肌には良くないので、睡眠はちゃんととって。朝6時に起床したらラジオ体操と太極拳をやりまして。その後はお体に良い朝食を取りまして。瞳さん、アサイーボウルがお好きだということで、我が家のシェフに作らせまして。お腹いっぱいになったら、お紅茶を楽しみながら、女子トークしながら、我が家の美容師を呼びまして、ヘアセットとメイクをしてもらって皆で美しくなって。詩さんがネイルを皆になやってくださいましたわ。ランチにはローストビーフを中心としたメニューを楽しみまして。午後からは婦人服のバイヤーを何人かお呼びしまして、出張ショッピングをして、羽菜がチョイスしてくれた服を合わせて皆でファッションを楽しみまして、それとは平行に定晴が携帯電話屋の職員をお呼びしまして、瞳さんのスマホを買い換え、その後は3時のおやつとお紅茶を楽しみながら、我が家のホームシアター室でドブのように泣ける恋愛映画を何本も何本も見て、そして二回目のディナーにはA5ランクの飛騨牛のしゃぶしゃぶを食べて、定晴の運転で御自宅まで皆でお送り致しましたわ?瞳さん、笑顔でお帰りになられましたわよ?」
全部、喋る必要、ありましたか?



