王子様とブーランジェール




俺の後ろで狭山が怒りを込めて小笠原たちに怒鳴る怒鳴る。

だが、対する小笠原は、なぜか「オホホホ!」と扇子を開いて口元を隠し、高笑いをしていた。



「ごめんなさいエリお姐様?お務めは十分に果たしましたのでお許しください?…ちょっと、そこの八上さんにどうしても言いたいことがございまして?」




そう言う小笠原の表情、ごめんなさいとは微塵も思っていないぐらい偉そうだ。

本当に偉いんだから、仕方ないんです!ってか?




名前を出された八上こと、マシュー総長は小笠原たちの突然の登場にポカーンとしている。

総長だけではない。全員ポカーンだ。



「…さて。フリージア!例のものを八上さんにお渡ししてやりなさい!」

「はぁーい」



山田は白いTシャツにフレアスカートと私服姿であり、持っていたハンドバッグにごそごそと手を入れている。

そして、物を取り出し「そぉーれっ」と、マシュー総長の方へぶん投げる。

山田のゆっくりとした話し方とは逆に、投げた物はビュン!と音を鳴らしてマシュー総長の胸元へとぶち当たった。

「痛っ…」と言いながらも、そのブツはマシュー総長の手元に収まっている。

しかし、そのブツを見てマシュー総長はまた目を見開いており、ブツと山田を交互に見ていた。

そのブツとは…白いスマホだ。




「こ、これ…瞳のスマホ!…何なんだこれはぁっ!」




マシュー総長の叫びと共に、またしても小笠原の高笑いが響いた。




「オホホホ!…それは瞳さんのスマホでございます。もう必要が無いのであなたにお渡し致しますわ?」

「なっ…!」

「瞳さんは、すでに新しいスマホを新調しております?番号も。そのスマホは解約致しました?これでもう、今後あなたは瞳さんと連絡を取ることは出来ませんわ?」

「な、何でそんなことを!」

「…瞳さんの話ですと、あなた、瞳さんを監禁同然で束縛していたそうですね?瞳さんが夏輝様をお慕いし始めてからは、四六時中監視していたそうじゃないですか。別れたがってるのに。どういうことなんでしょうか?」

「そ、それがおまえと何の関係がある!」

「…関係?…大アリですわよっ!…夏輝様をお慕いする権利を奪うだなんて、言語道断!同じく夏輝様を慕う仲間として黙ってはいられませんわよ!」

「…は?…は?!」

「は?とは何ですか!『夏輝様をお慕いする自由』を尊重なさいと言ってるのですよ!」




その話は、その辺にしてやってくれないか。

マシュー総長、だいぶ混乱してるぞ。

俺も、よくわからん。