王子様とブーランジェール




「お、おい!…何すんだおまえぇぇっ!」

「竜堂コラアァァッ!」

「やんのか?コラアァァッ!」


他の仲間が庇うように、俺が蹴りを突っ込んでやられたヤツを取り囲んでいる。

またしても、ギャーギャーと俺に文句を言い始めた。




ったく。

おまえぇぇっ!だとか、コラアァァッ!だとか。

そんなんばっかりだな。




だが、こっちだって怒りを忘れたワケではない。




「やんのか?って確認しなくとも、いつでもかかってこいや。こっちだって相当頭にきてんだよ」



そう奴らに言い放つと、一斉に奴らは俺に睨みを聞かせてくる。

4、5人ほどジリジリと迫ってきた。



いいぞ?全員まとめて相手してやる。

俺の後ろでは、松嶋と狭山がそれぞれ獲物を持って準備して構えているが、こんな奴ら、俺一人で十分だ。




来い。

完膚なきまでに…!





身を乗り出そうとした、その時。

いきなり、辺りがパッと明るくなった。

思わず動きを止めてしまう。

意気込んでいたため、ガクッときた。




(…え?)



いや、これは、車のヘッドライトか?

光の射す方向、正門の方を振り返って見る。



正門から、車がハイビームを点けて入ってきた。

やたらと長い車…リムジン?

クラクションを鳴らしたまま、こっちに向かって徐行しながら走っている。

そして、俺達の傍で停まった。




ここにいる全員、停まったリムジンの様子を黙って見守ってしまう。

すると、運転席から燕尾服を着たおっさんが出てきた。

後部座席のドアを丁寧に開けている。

狭山が「…定晴か?」と呟いたのを聞いて、ひょっとしたら…と、現れるであろう人物が何となく特定出来てしまった。

こんな高級車に乗ってこの高校に来る狭山の知り合いと言えば、もうお分かりだろう。



後部座席から続々と降りてくる。

一人、二人、三人…シメにはでかいのが一人。



あぁ、なぜ来てしまったんだ。



「…夏輝様ぁーっ!」



総勢四人、俺を見て手を振っている。

ワントーン高い、黄色い声で俺の名前を呼んでいる。


またしてもガクッときた。

この緊迫した雰囲気に水を射すような登場だ。

空気読めよ…。




小笠原麗華と愉快な仲間たちの、鈴木さんに金村さん、山田フリージア…。




「麗華!おまえら!何で来た!任務完了したら直帰でいいと言ったろうがバカめ!」