「瞳は…瞳はどうしたんだ!おまえ…瞳に手を出したらどうなるかわかってんのかぁ?!」
マシュー総長は、再びずかずかと引き返してきた。
金属バットを下ろして腕組みをして偉そうに立っている狭山の前に立ちはだかり、見下ろして睨み付けている。
狭山も「あぁ?!」と負けじと下からメンチ切っていた。
「瞳ひとみうるせえなコラァ!このスパゲッティの乾麺みてえな髪の毛しおって!…おまえの姫とやらは、私の妹分と今頃仲良く女子会やっとるわバカめ!」
「じ、女子会ぃっ?!…ふざけるな!昨日から瞳と連絡が取れない!おまえらが拉致したんだろが!」
「はぁー?拉致ぃー?証拠、ありますかー?…耳揃えて証拠を今すぐここに持ってこいやコラァ!」
「証拠だと?!…状況からおまえらがやったことぐらいわかってんだよ!」
「男の勘と決めつけほど信憑性がなく見苦しいものは無いわ!バカめ!」
マシュー総長と狭山が口論してる…。
これ、見守ってなきゃなんないの?
「…このっ!」
だが、言い負かされかけていたマシュー総長は、カッとなったのか、狭山のブラウスの襟に手を伸ばす。
乱暴に掴み上げて引き寄せていた。
あっ…!
「…あぁ?やんのかコラァ!上等だバカめ!」
狭山は、マシュー総長の行動に『しめた!』という顔をしている。
挑発が思惑通りだったのか。
…だが、女子に手をかける?
そこは見ていられない。
狭山の背後から手を伸ばし、その掴んだ手の親指を捻り挙げる。
「いっ!…おまえぇぇっ!」
マシュー総長の手を狭山から引き剥がした。
その指を離さず捻り挙げたまま、狭山の前に出てマシュー総長を軽く突き飛ばす。
「おまえ…何やってんだよ」
「………」
無言だが、敵意剥き出しに睨んできやがる。
「みっともねえな?女に手を挙げたり、女のケツばっか追っ掛けやがって」
「…竜堂!」
すると、真横から気配がした。
「…真秀に手を出しやがったな!」
取り巻きの一人が、いつの間にかこっちに来て拳を振りかざしてくる。
だが、その拳の手首を狙って掴む。
グッと引っ張り寄せて、がら空きの腹に右足の裏で蹴りを入れる。
ドカッといい音がして、同時にヤツは地に倒れ込んでいた。
「うっ…」と、腹を抱えて踞っている。
…何だそのへなちょこパンチは。
高瀬の方がだいぶマシだっつーの。



