王子様とブーランジェール





総動員でやってきた早瀬高校、バヤセに対して。

こちらの兵隊は、40近く。しかもほとんどが女子。

狭山や奈緒美、潤さんや藤ノ宮などの猛者や、投網バズーカと巧妙な作戦があっても、こちらの方が劣勢なのは、目に見えている。

確実に、勝利を手に収めるためには。

あちらさんの兵隊を手っ取り早く、大幅に欠く方法が必要だったという。

…それで、この定置網漁作戦の出番だったということだ。




しかし、ホントに実行に移してしまい。

本当に成功しちゃったとは…!

俺の前にいる松嶋も「すげぇ…」とのみ呟き、その不良どもを捕獲した、クレーンにぶら下がっている定置網を呆然と見ている。



定置網で人間を捕らえるという発想が、まずすごい。規格外だ。

しかも、約30人。重みでクレーンが揺れている。ギリギリだ。

よくもこんな作戦考えるな。

唖然とするしかない。




クレーンの先を見上げ、その本体に目をやる。

クレーン車本体は、うまいことフェンスや木々の陰に隠されていた。

運転席にいるのは…ミッション直前で、クレーン車操作を命じられた、クラスメイトの尾ノ上さんだ。

遠くからでもわかる。

涙目で息が荒い。パニってる。

クレーン車を動かす女子高生…。

抜擢されて、可哀想に。

ホント、御愁傷様。




「クックッ…あははは!北海道のサケの豊漁を願った作戦だ!こっちはクソヤンキーが豊漁だ!バカめ!絶妙のタイミングだったぞ美咲!」



ぶら下がった定置網の中で、捕まった魚類のように藻掻いているクソ不良どもを眺めながら、今度は魔王のように高笑いをしている狭山。

しかし、すぐに笑い声は止まり、悪魔の笑みを浮かべる。

「…クックッ。これでまだ終わりじゃねえぞ?」



すると、定置網には引っ掛からなかったクソ不良どもが、仲間の変わり果てた姿を目にして、その定置網の周りに続々と集まってきた。

定置網に引っ掛かった人数と同じくらいの人数だ。

「…な、何だこれは!」

「…おまえらぁぁっ!仲間に何してくれてんだあぁぁっ!」

反撃されたと認識したのか、残された不良どもはこちらに向かって再び怒号を浴びせる。

だが、そいつらの目の前に立ちはだかるのは、我らがボス、狭山。

「クックッ…漁で捕獲されちゃったんだよ!これからこいつらは、選別されて市民の食卓に提供されるのだ!バカめ!」

「な、何だと!…この、クソがあぁぁっ!!」

「クソ?…ほう?我らを糞便扱いか?…この三流愚連隊どもがあぁっ!」

「…は、は?!ぐ、愚連隊?…って、何だ?」