王子様とブーランジェール





ウィーンとモーター音が鳴ると、直ぐ様ガシャンガシャン!と重機を動かす機械音が鳴る。



次第に、砂埃が舞い始める。

途端に、ガバッ!と野球部のグラウンドの黒砂が、飛び散り始めた。



「…は?…あっ!何だおいっ!」

「わっ!…うわあぁっ!」



俺を追いかけていたクソ不良どもが、悲鳴や驚愕の声をあげ始める。




それもそのはず。

野球部のグラウンドの黒砂の下から、突如として豪快にその姿が現れる。

それは、クソ不良どもの群衆を一括して、乱暴に包み込んで捕らえていった。

「なっ!…何だこれは!」

「あ、網?!」



松嶋の肩越しに、その光景を見守る。

30人程のクソ不良どもが、バカでかい網にまとめて袋状に包み込まれてしまった、その様を。

地面からかなり離れた真上では、クレーンの先が顔を出しており、クソ不良どもが詰め込まれた袋状の網をロープで吊るしている。

クレーンは少しずつ上昇しており、奴らが詰め込まれた網も少しずつ浮いていた。

「う…うわあぁぁっ!」

「な、何だ!」

「浮いてるぞ!」

50センチほど浮いたところで、網の中の奴らが暴れるとその振動でゆらゆらと揺れ始め、時々地面を擦る。

中の奴らをますます混乱に陥れていた。

網からは、奴らのうめき声や悲鳴、動揺の声が切なく響いていた。

その光景を見て、狭山が悪魔の笑いを漏らしている。




「クックッ…バカめ!作戦成功だ!名付けて『定置網漁作戦』!!」




定置網漁…。




つまりはだ。

俺が連中の怒りを煽って、自らをエサに身を追わせる。

まんまとエサに食らい付いたクソ不良どもは、俺が罠のもとへ誘導しているとも知らずに、エサを追いかける。

野球部のグラウンドには、奴らを捕らえるバカでかい網、定置網を砂で隠しており。

俺を追い掛ける奴らが、その隠し網の捕獲範囲に来たそのタイミングを狙って。

狭山が合図を送る。

すると、クレーンが作動。

そのバカでかい網(定置網…)は、狭山特製の仕掛けがしてあって、網の端にはロープが通してある。

そのロープをクレーンで上から引っ張り上げると、網はたちまち袋状となり、網の上にいる獲物を、巾着のようにがっちりと包み込んでしまう。

中の獲物は、その網から逃げる術を失う。

確保成功!

と、いうワケだ。