王子様とブーランジェール





もう唖然とするしかない。

こんなこと、やる?普通。

何で思い付いちゃうの?



「…さて、主。合戦前に何か言うことあるか?」



そう言う狭山の視線は、俺の方へと向けている。

…あぁ、あるさ。

ここぞとばかりに、言うことあるさ。



兵隊であるみんなを見据えて息を吸う。



「…全員ブン殴ってやりたいとこだが、総長と幹部の加藤は俺に残しとけ!その二人だけは絶対俺が殺す!」

「…何を言っておるか!実はおまえもヤンキーか!バカめ!」










…現在は、8時45分。

約束の時間、15分前。




苦笑いしか出てこない作戦の説明やら打ち合わせが終わり。

俺は、生徒会室にいた。




生徒会室には、ノートパソコンを開きながら、スマホで電話している菜月。

…そして、ここにいやがったのか。

姿が見えないと思ったら。




「…はい、宮川班持ち場到着。…あ、佐藤美菜班準備完了だそうでーす」



理人だ。

菜月のタブレットを手にして画面をじっと見ている。

それは、グループチャットのスレッドであり、入ったメッセージを読み上げている。



どうやら、菜月のお手伝いをさせられていたようだ。

菜月はスマホを耳から降ろして机に置いている。

「了解。あと、二班だね。自社ビル地下も、麗華嬢たちも問題なし」

「…あ、狭山さん準備完了。あとは伊藤さんたちだけです」

「変なヤンキー加わったから時間かかってるんだよ」

変なヤンキー…それは、松嶋のお友達のことだろうか。



そんな指令室さながらの二人の働きっぷりを眺めていると、この部屋にいたもう一人がこっちにやってくる。

生徒会の二村さんだ。

立会人のようですが。




「竜堂、さっきもあいつらには言ったが、学校側が出した条件としては『部外者を校内には入れない』ことと『明日、野球部が集合する朝6時までの現場復旧』だそうだ」

「それが学校を貸してくれる条件ですか」

すると、菜月が会話に入ってきた。

「現場復旧に六時間は欲しいね。遅くても日付が変わるまでには事を終えたいな…あ。」

そして、手招きをされ、ノートパソコンの画面を指差している。

「続々と集まってるよ?」

画面を覗き込む。

どうやら正面玄関口に付けられた監視カメラの映像らしい。

そこには、シルエットでもわかるぐらいガラの悪そうな連中が、正面玄関口前に集まっている様子だった。