王子様とブーランジェール






「っつーか、何で来た…」



松嶋のため息が再度聞こえる。

突然単車に乗って現れたヤンキーたちは、そこらに倒れている金髪ロン毛を囲むようにしゃがみこんでいた。

赤髪チャラヘアーが、重徳。

俺がやっつけてしまった金髪ロン毛が、厚雅。

黒髪短髪男が、謹次。だそうだ。



「慎吾、面白いことすんだろ?何で俺達呼んでくんないの?高校入ってから平和すぎて俺達ケンカに飢えております」

赤髪の重徳が、そう言いながらも倒れている厚雅に「起きろ!」と、顔を叩いていた。

横では黒髪短髪の謹次が無言でこくこくと頷いている。

しかし、松嶋は同調することはなく、反論する。

「あのなぁ!これは俺の高校の問題で、おまえらには関係ないの!野次馬根性で来るな!ラウンドワンでボーリングでもしてろ!」

「えー。やだー。ボーリングより断然ケンカの方が面白いに決まってんじゃん」

「ばっ!…遊びじゃねえし!」

「は?遊びじゃないケンカなんてあんの?慎吾だけずるいぞ!な?謹次?」

黒髪の謹次は、またまた頷いている。

…こいつ、さっきから頷いてしかいない。

またしてもからくり人形の登場だ。

今、「ケンカ…」と呟いていたが、声がみんなに届いていない。

声、出ないの?



すると、金髪ロン毛の厚雅が、「あいたた…」と言いながらゆっくり起きた。

「あぁー。ご挨拶、派手じゃありませんか?ミスター竜堂とやら」

頭を振りながら、こっちをチラッと見てくる。

…あんな派手に学校に乗り込んできたら、奴らが来たと思っちゃうだろ。普通。

でも、俺の早とちりには変わりないので「すまん…」と頭を軽く下げた。


「もう痛くて切ないから、女子のパンツを見てから帰るしかない。…おい!律子!とりあえずおまえのパンツ見せてくれや!」

「…バカじゃないの?!このバカ厚雅!スケベ!信じられない!」

松嶋の後ろに隠れるように立っていた藤ノ宮は、ひょっこりと顔を出して怒り出す。

藤ノ宮が顔を出すと、その厚雅とやらはだらしなく笑っている。

「律子おまえ相変わらず可愛いな?パンツがダメなら一発ヤラしてくれや」

「死ね!」



何だ何だこの変な奴らは。

ヤンキーというか、バラエティ芸人軍団みたいだ。

ヤンキーって、ギラギラ尖ってるもんじゃねえの?

…って、松嶋見てればそうでもないと納得だけど。