王子様とブーランジェール





先生の口から『誠意』という言葉が飛び出したと同時に、桃李の体がビクッと震えた。

挙動不審が更に挙動不審になり、動きが角ばっておかしくなっている。

だいぶパニっているというサインだ。



『誠意』?

男子は坊主になるという結末だったが、そういや女子の『誠意』とは何なんだ?




『ほら、どうした神田?他の女子は出来るんだぞ?おまえに出来ないワケないよな?な?』




オドオドしている桃李を上から見下ろす先生の表情は、ニヤニヤとしていて、とても悪い。

すげえ気持ち悪い。



『せ、せ、誠意って何ですか…ひ、ひ、ひょっとして、愛里ちゃんとお、同じことをしなければな、ならないのでしょうか…』



愛里?

あの不登校になっている相馬愛里のことか。

なぜ、相馬が出てくるんだ?



すると、先生は鼻で笑う。

『相馬だけじゃない。女子はみんな出来てるぞ?』

『で、で、できません…』

『あ?』

『わ、わ、私はそんなのできませんーっ!うわぁーんっ!』

『…待て!』

その場から叫んで逃げようとする桃李の腕を、先生は掴む。

力ずくで引っ張って、更にもう片方の腕をも掴む。

勢いで背中を壁に叩きつけられていた。

『やだ!やだやだ!できませんっ!できませんっっ!!』

両腕を掴まれて身動き取れないながらも、腕や頭を振って一心不乱に暴れている。

抵抗する桃李に、先生は目を釣り上げる。



な…何してんだ!この教師!



『神田、おまえには誠意がないのか!』

『ダメです!先生、ダメー!』



いったい何が起こっているのか。

これは…女子の『誠意』とは、何か。



まさか、これは…。



『だ、ダメダメ…服を脱ぐなんてできません!うわぁーんっ!』

『…おまえ!違うぞ!先生は「一肌脱げ」と言っているんだ!』

『は、ははは肌も服も脱げないぃっ!こ、こここんなの出来ないぃっ!』

『…このっ!』



その時。

先生の行動に、目を疑った。

神々しいと崇められた、教祖の本当の顔を見た。

とうとう、化けの皮が剥がれた。




『…ひいぃぃっ!』




先生の手が、桃李にかかる。

乱暴に服の裾を掴み上げていた。

桃李がいつもの汚い悲鳴をあげて、その手を必死に掴んで抵抗すると、先生は更に怒りの表情を見せる。



『…おまえぇぇっ!!』