王子様とブーランジェール





人の声が飛び交って、あんなに活気のあったグラウンドも、空が薄暗くなるに連れて、人もいなくなり、静かとなっている。

日の入りが早くなってきたのか、部活が終わる頃にはすでに外は暗くなっていた。




「じゃあなー。また明日」

「お疲れー」

「…っつーか!おまえら、夜道には十分注意しろよ?!」



すると、すでにバス停へと向かおうとしていた連中が、一斉に振り返る。



「わかったわかった。気をつける気をつける。夏輝は心配性だな?」

「だって狙われた生徒は制服着てたんだろ?だから俺達ジャージにしたじゃーん」

一週間続いているからか、この襲撃事件は何となく他の生徒にも耳に入っていたようだ。

俺が注意しろ注意しろとうるさいもんだから、みんな部ジャージを着て帰宅することにしたようだ。

「ったって、部ジャージだって学校の名前書いてあんだぞ?!油断できねえからな?!」

「そう?ヤンキー、ローマ字読めんの?」

「読めるヤンキーもそらいるさ!ヤンキー甘くみるんじゃない!…特に地下鉄組は気をつけろよ!」

「はいはい」



ちっ。みんな、俺のことをうるさい姑ぐらいにしか思ってんじゃねえだろな?!

俺は俺なりに必死なんだ。

もしも、部のヤツや仲良い友達がやられたとなれば…今以上に黙っていられる自信がない。





彼らを見送った後、正面玄関口から校内に入る。

2階にある、社会科資料室は、まだ電気が点いていた。

赤点該当者の諸君は、まだ課題を終わらせていないと思われる。

有言実行で、顔を出すぞ?

何を言われようが、様子を見に行く!




ゆっくりとそっと、邪魔しないように、資料室のドアをそっと開ける。

すると、中からは複数の話し声がした。

チラッと覗いてみると、資料室の真ん中にある向かい合わせた机の上の数台のパソコンの前に各一名ずつ座り、作業をしているようだ。

あいつら、お喋りしながらやってんのか?進んでるか?

松嶋と桃李は隣同士で喋っていて。

その前に、陣太がだらしなく座りながらキーボードを叩いている。




「やややや。痩せたもん。痩せたからもういい。いいって」

「はぁー?ホントかー?顔すっきりしてないと思うぜー?ホントに結果にコミットしてんのかー?…ほら!腹出せ腹!触って変わりあるか確かめてやんぜ?」

「だめ!だめ!触んないで!だめ!」

「おーい慎吾。セクハラしてねえで早くやれー。帰れねえぞー」



…腹立たしいことに、予想通りじゃねえか!!