王子様とブーランジェール




バカヤロー!ただの心配性で済ませられると思うなよ?!

相手はあの松嶋だぞ!柳川をペロッと食べちゃった、ハレンチ男だぞ!

夜の学校での前科持ちだぞ?!




「…はぁ?別に大丈夫じゃね?慎吾はおまえが神田を好きだってわかってんのに、手を出すかい。大袈裟な…」



バカヤロー。大袈裟とは何だ!

ヤツは獣だ。俺がどうこう関係ない。

獣ってヤツは、メスがそこにいれば喰うんだ!

桃李が柳川のシスターズになったら、どうしてくれるんだ!

過ちが起きてしまわないように、監視しといてくれ!



「はいはいわかった。わかったわかった!でないと、おまえが殺人という過ちを犯してしまう可能性もあるからな?俺だっておまえを殺人犯にはしたくない」



俺が?…あぁ、そうだよ!

もし過ちを起こそうものなら、松嶋なんか即殺だ!

…ふん。まあ、いい。

俺も部活が終わったら、資料室に顔出すからな?



「はぁっ?!いいっつーの!…わかったわかった。俺が神田を家まで送るから。夏輝は来なくていい!ったく、溺愛もいいところじゃねえか!」



はぁ?何だよそれ。

俺が来たら都合悪いことでもあんのか!

おまえ、友達だろ!…え?違うの?



「え?急にしょんぼりしてんの?何で何で?」

「いや、俺達、ホント友達だよね…?」

横で話を聞いてた理人が「おまえ、バカ?」とボソッと口にした。






ちっ。何で顔出したらダメなんだ。

いや、絶対顔出すぞ。何を言われようとなぁ?




放課後、いつもと同じく更衣室で練習着に着替えてグラウンドに向かう。

正面玄関口で、下校する生徒の波に紛れて、隅で持参したトレーニングシューズに履き替えた。

ふと顔を上げると、靴を履き替えた生徒が次々と玄関を出て、帰路に着く。

中には、男子生徒の姿もあった。



…この中に、ひょっとしたら今日。

被害に合うヤツがいるかもしれない。



なのに、俺はのうのうと部活なんてやっていていいのか?



そう思うと、心苦しくて、いても立ってもいられない。

だけど、自分勝手に動ける立場でもない。

どうにもならない状態の葛藤に、イライラさせられる。

理人案、ホントに酷だわ。



星天狩りだか何だか知らねえが。

早く来い。

早く、俺のところに来いってばよ!



完膚なきまでに叩きのめしてやる…!