双子だからって、なんでもお揃いにすれば良いってもんじゃない。
俺の小さな頃の写真、秋緒とお揃いの服を着てることが多くて抹消してしまいたい限りなのに。
所詮、ついで。
秋緒のついで…同じ誕生日だしな。
苦笑いが出たその時。
甘いりんごとシナモンの混じった薫りを鼻に感じた。
途端に空腹を感じる。
そういえば、飲まず食わずで贈答会やってた。
そりゃ腹も減るわ。
目の前のまだ温かさの残っているアップルパイに食欲をそそられてしまう。
「…桃李、これ切ってくんない?」
「え?食べるの?」
「1ピースだけでいいから。腹減った」
「うん、わかった」
奥の厨房に再び姿を消す。
パタパタと足音をたてて、すぐにナイフを持ってきた。
「お皿とフォークは?」
「いらない。そのまま食べる」
ホールのアップルパイにナイフを入れる。
パリッと良い音がして、速やかに切り分けてくれた。
切り口はパイ生地と蜜りんごとクリームが重なって層になっていて、ギッシリと詰まっている。
それがまた美味そうだ。
腹が鳴りそう。
「…あ、ちょっと!」
切り分けられた途端に、パイを指でつまみ上げる。
我慢出来ずにそのままパイの先にかじりつき、口の中に放り込んでしまった。
もぐもぐと噛んでいると、りんごの甘酸っぱさと適度に甘いカスタードクリームの甘味が口の中に広がる。
「豪快だね…」
そんな俺を見て、桃李は苦笑いをしていた。
うまっ…これ、疲れた体に染みる甘さだな。
思わずにやけてしまう。
空腹だから、一層美味く感じる。
「おいしい?」
桃李がいつものように感想を求めてくる。
じっと見つめられて、ドキッとしてしまった。
そんなに…見つめるんじゃない。
「…美味いに決まってるっつーの!…だったら、おまえも食ってみるか?」
照れ隠しに言葉を吐き出してしまい、俺の歯形が付いた食べかけのアップルパイを差し出す。
「え?いいの?」
「いいぞ?ほら、食ってみ?」
更にそれを顔面真っ正面に差し出した。
「うん、ありがと」
手に持っているパイに、桃李の手…ではなく、顔が近付いてききたことで、ハッと我に返る。
小さな口を少し開けていた。
って、そのままかぶりついちゃうの?!



