車に乗り込み、シートベルトを着けてると、理人が後部座席のドアを開けた。
「先生ー。俺も乗せてー。送ってー」
と、言いながら、返事を聞く前に乗り込んでしまった。
おいおい。図々しい。
「和田、いいよって言う前に乗り込んじゃうってなんだ。おまえ荷物運びしろよ?先に竜堂んちだからな?」
「あー。先生にこき使われるー。助けてー」
小笠原たちに見送られながら、先生のクルマは発進した。
小笠原たちは、これから周辺の清掃をしてから帰るらしい。
まるでイベントスタッフじゃねえか。
「夏輝様!そんなお言葉もったいないですわっ!…先生。エロDVDないの?」
後部座席で、理人が車の中をがさがさと開けながら運転中の先生に話しかける。
さりげに小笠原のモノマネをするんじゃない。
それに、先生の車のガサ入れやめろ。
「エロDVD?車だと見るだけじゃ済まなくなってただの変態だろうが。おまわりに職質されるだろ。こんなナビの小さな画面で見るより、部屋のテレビの大きい画面でこっそり見なさい」
「先生、何系好きなの?」
「おいおい。先生にそんなこと聞く?…温泉浴衣美女と和室と布団」
「女子高生系じゃないのー?」
「教師がそんなの見てたら問題でしょうが。それにかえって仕事思い出して萎える。全然そそられない」
おいおい。先生となんつー会話してんの…。
徒歩10分の我が家は車だとあっという間に到着してしまう。
速やかに玄関のドアを開け、理人と先生に次々と荷物を運んでもらう。
「夏輝。何なのよこれ。引っ越し?」
段ボールが次々と家の中に運ばれる様を、マリアは呆然と見ている。
「全部俺の誕生日プレゼント。後は聞くな」
「あんたどんだけ友達いるのよ。100人じゃ済まない量でしょ…って、りっひ?!…はっ?!先生?!」
「どうもー。担任の仙道ですー」
段ボール箱を運んでいる理人と先生に気付いて、更にビックリ、うちのマリア。
「え、え、先生、いつも息子がお世話になってます…って、夏輝!先生に何をやらせてるの!」
「いやいや、いいんですよお母さん…」
俺だってそう思うわ。先生に自分の貢ぎ物運ばせるとかってよ…。
玄関での騒ぎを聞きつけ、姉たちもやってきた。
「ちょっと、なっち?何この段ボール祭り」



