王子様とブーランジェール




パイプ椅子に座ったまましばらく待っていると、駐車場の方から、黒のRV車が徐行しながらこっちへと走ってくる。

俺と梱包された段ボールの前でゆっくりと停まった。

運転席の人物を見て、本当に申し訳ない気持ちになる。



あぁ…本当にごめん。いつも。



「よーし。開けるぞー?どんどん詰めてけー」



そう言いながら、運転席から出てくる。

俺の担任の仙道先生。

自動で開いたハッチに次々と段ボール箱を積んでいく。

小笠原たちから段ボール箱を受け取り、奥の方から詰めている。

「え?先生が車で荷物持っていってくれるの?」

「お、竜堂お疲れ。ここに置いといたらカラスに狙われるからな?しゃーないから車で運んでやる?」

まさか、これもミスターの担任のお仕事なのか?

だとしたら、大変迷惑な話…。

「仙道先生、ご協力ありがとうございます!助かりますわ!」

「まあまあ担任してる生徒のことだしなー。どうせ家帰っても待ってる家族もいないしなー。独身暇してるから大したことない大したことない」

小笠原が静かに礼をする横で、仙道先生は笑いながら段ボールを積み込んでいる。

先生、自虐入ってる?



ようやく段ボール箱を積み終え、先生は車のエンジンを再びかけた。

「よーし。行くぞ?竜堂、乗れ」

「…あっ、すみません!」

助手席に慌てて乗り込もうとしたが。

「夏輝様!夏輝様!」

小笠原や山田たちが揃って、車の方に駆け寄ってくる。

な、何だよ。恐い。

「本日は本当にお疲れ様でした!夏輝様の勇姿、とても素晴らしかったですわ!」

「………」

勇姿って…俺、何かした?

勇姿と言えるほど、カッコいいことしてないよ?

むしろ恥ずかしいことしてたと、あんたがたも思わないかい?

しばらく返答に困ったが、何か言わないとシメられない雰囲気を感じてしまった。



「…皆さんもお疲れ様でした」



世話になったことには違いないので、とりあえず頭をペコリと下げる。

すると、ほぼ同時に『きゃーっ!!』と、歓声があがり、逆にビックリさせられる。

な、何?何!



「夏輝様、そんなお言葉もったいないですわ…私達は当然のことをしたまでですのに…」

小笠原、何かうっとりしてるぞ。

どうした。

気付いたら、周りの女子も同じような感じになっている。

どうした。どうした。

「夏輝様、超カッコいいぃー」

山田が寄ってきた!

逃げるべく、慌てて車に乗り込む。

コイツが絡むとくだりが長くなる!もう家帰りたい!